PTAを見直し、本来の役割を取り戻しましょう

所沢市PTA連合会はPTA活動が充実するための3つの要素を次のように考えています。

  • やりがいがある(達成感
  • 支え合い、励まし合う(人とのつながり
  • 活動を通して学び、豊かになる(親としての成長

この3つの要素が満たされてこそ、はじめてPTA活動というボランティア活動が負担感から充実感に変わっていきます。

では、PTA改革をどのように行えばいいのでしょうか。所沢市PTA連合会では、PTA会長研修会を通して、4年間にわたり、地道に研修を続けています。それぞれの学校PTAの取組を互いに提供しながら、どうすれば「やってよかった」と言えるPTA活動にできるかを考え続けてきました。

お気に入りの興味あるテーマからご覧ください。

1 なぜPTA活動は硬直化したのか

2 PTA改革は、一人ではできない

3 PTA改革のための3つの視点

4ーA「PTA会員のための見える化」PTA活動を会員に知ってもらうには 

4ーB「役員のための見える化」役員が不安なくPTA活動ができるには

4ーC「他校PTAとの比較からの見える化」新たな情報が見直しのヒントに

5 「活動の柔軟性」(できることを、できるひとで、できるときに)

6 「組織の多様性」(多様な活動が、様々な人を呼び寄せる)

1 なぜPTA活動は硬直化したのか

平成の30年間で、子育てをめぐる社会環境は大きく変化しました。

まず、専業主婦と共働きの比率は、平成元年の7:3から令和元年には事実上逆転しました。また、一人親家庭が増加し、子どもの貧困率も上がっています。PTA活動に参加するには、「仕事を休まなければならない」あるいは「PTA活動に参加することが事実上不可能である」といった家庭の割合が増えました。

こうした社会環境の変化に対して、学校と家庭の連携の重要性は以前よりも重要になってきました。どの親も子どもの学校教育に関心を持ち、関わることは、大切だと考えていますが、かつての環境をベースにした活動が難しくなってきたのです。本来のPTA活動の趣旨が、親同士のつながり、支え合いですから、活動の在り方も時代の変化に応じて変わるべきでした。しかし、PTA役員の任期は、長くても2,3年ですから、制度改革よりは現状維持に傾いてしまいます。

そこで生まれた現状維持の大原則は、「すべての保護者が同じ量の仕事を、平等に、毎年同じことを同じように」活動するというものです。平等で、負担の少ない効率的な活動に思えたのですが、この大原則が、心理的な3つの束縛を生みだし、充実感よりもやらされ感・負担感・強制感を強めました。

義務感)やらないといけない、ルール主義

強制感)こうやるべきである、前例踏襲主義

不公平感)やらない人がいるのはおかしい、平等主義

自分の子どもだけでなく、学級や学校のすべての子どもたちのために活動することは、困難を抱えている家庭を支援することになるはずです。PTAに入会しない家庭の子どもには、恩恵を与えないというのはPTA活動の趣旨を逸脱した誤った考え方です親同士が、繋がり、励まし合い、支え合う姿を見ることは、子どもたちが人生最初の社会の仕組みを学ぶ機会です。所沢市PTA連合会では、令和元年度のパネルディスカッションで、PTA活動の意義を次のように提案しました。この3つの鍵こそが、PTA活動の本来の目的だと考えます。

(達成感)やりがいがある。

(人とのつながり)支え合い、励まし合う。

(親としての成長)活動を通して学び、豊かになる。

 では、この3つの意義を実現すために、どのようにPTA活動を改革していけばいいのか、所沢市PTA連合会の学校PTAの取組をご覧ください。

2 PTA改革は一人ではできない

PTA活動の在り方を変えるには、PTA会長ひとりの力では不可能です。

PTA改革は、保護者の理解だけでなく、学校の教職員との連携が欠かせません。そのプロセスは、活動情報の発信、聞き取り、アンケート、話し合い、方針の決定、企画・運営・評価など時間と労力がかかるものばかりです。 所沢市内でPTA改革に取り組んでいるPTAの共通点は、「PTA活動を変えていかなくてはいけない」という気持ちを持った人たちのつながりでした。まずは、「やってよかった」というPTA活動にしたいという仲間が、学校PTAに生まれなくては何も進みません。同じ年度の役員どうしの横のつながり、前年度から次年度へと年度を越えた縦のつながり。こうしたつながりが、PTA改革を実現させ、会員が充実感をもって参加できる組織へと変えていきます。

3 PTA改革のための3つの視点

所沢市PTA連合会は、PTA会長研修会を実施して、互いの情報を共有したり、課題について話し合ったりしています。PTAの3つの心の足かせやPTAの3つの意義についても、そうした集まりの中で生まれてきました。

 PTA改革の取組は、伊奈町立小針小学校PTAの適正化についての2年にわたる研修会からスタートしています。所沢市内においても、活動の見直しを進めるPTAが、次第に増えてきました。とりわけ、コロナ禍の中で、活動の意義や目的を見直して、会則の変更やICT化が進んでいます。

 そうした取組に共通する3つの視点をまとめてみました。

  •  見える化(活動が見える、伝わる、つながる)

   →改革の最初の一歩(どうやって会員がつながるか)(ICT化を含む)

  •   活動の柔軟性(できるときに、できることを、できる範囲で)

   →意識改革から制度改革へ

  •  組織の多様性(多様な活動が、様々な人を呼び寄せる)

   →活動の意義や目的の見直し(活動の削減が目的化しないように)

 PTAの改革に取り組む際に、ぜひ参考になればと思います。

4-A「PTA会員のための見える化」PTA活動を会員に知ってもらうには

アクセス型の情報発信】(会員が自分からアクセスします。)

ブログを活用して、PTA活動の様子を生き生きと伝えている学校があります。清進小学校、所沢小学校のホームページを紹介します。日々の活動はもちろん、総会や定例会、配布物などを発信しています。また、アンケートや役員募集もブログで行うこともあるようです。ぜひ参考にしてください。

PTA会長研修会での清進小学校の「オンライン・ペーパーレス化」の取組

清進小学校PTAブログ

所沢小学校PTAホームページ

山口中学校では、コロナの時代の中で、家庭教育学級をオンラインで実施しました。

送信型の情報発信】(会員に情報が発信されます。)

「マチコミ」という無料のメール配信システムを活用している学校もあります。PTA研修会でお世話になっている伊奈町立小針小学校をはじめ、所沢市内でも導入された経緯があります。メールの送信やアンケートの配信、グループ設定(50まで)などができます。こうしたアプリは、有料・無料様々なタイプが紹介されています。

紙ベースでしかできない情報発信

PTA広報紙も、楽しい情報発信のツールです。紙で作った広報紙は、PDF版としてWeb配信も可能です。ただし、紙での配布ならば、写真などの個人情報の流出にWebほど気を使わなくてよいという利点があります。年度当初に配布される先生紹介など、楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

ホームページによる情報発信

ホームページの作成は、引継ぎが難しく、敬遠されるPTAが多いようです。無料のホームページ作成サイトなどを活用できます。

4―B「役員のための見える化」役員が不安なくPTA活動ができるには

(1) スケジュールシートの作成

活動の年間スケジュールシート+主要な活動のマニュアルシート

〇年間活動マニュアルシートは、年間の活動を1枚のシートにまとめます。

  • 対外的にPTAの活動を「見える化」することで、新たな役員候補者の不安を和らげるため。
  • PTA内部で、各役員がどんな活動をしているのかを「見える化」し、協力し合える体制を作るため。
  • 新役員が、どのタイミングで何をすればよいのかが分かり、抜け・漏れがないように気が付くことのできる、リマインダーまたはチェックリストとするため。
  • PTAの活動を謂わば「棚卸し」することで、役員の負担を減らす余地はないか、どの活動を効率化・スリム化すべきか検討する資料とするため。

〇主要な活動のマニュアルシートは、大きな行事の道しるべです

  • 例えば運動会のような、毎年ある大きな行事のために、どのような事前準備が必要で、当日は何人体制で誰がどのような動きをするのか、次年度の役員が困らないようにすることが狙いです。
  • それぞれの学校の事情も盛り込んで、具体的で詳細なものを作成し、その年々で追加・修正ができるようデータで受け継いでいくことが望ましいと考えます。

データ化した資料として持っておくことで、各学校PTAの財産になると考えます。最初の作成に一定の労力はかかりますが、一度作ってしまえば、その後は多少の加筆修正をしながら引き継ぐことで、将来の役員の負担軽減につながると考えます。

4ーC 他校PTAとの比較からの「見える化」(令和元年度報告の一部抜粋)

所沢市PTA連合に加盟している45校の学校PTAから提出された総会資料とアンケート調査をもとにPTA活動の実態を調べています。
主な調査項目は、会費、役員数、会議、役員選出方法、規約などです。
また、PTA会長からの聞き取りや会議での報告なども、大切な資料となります。

所沢市内の各学校のPTA活動調査

本部役員

・小・中学校ともに、本部役員の人数は、会長は1名、副会長は3名、書記2名、会計2名、教員3名が最も多く、一般的な人数のようです。

・所沢市のPTA会長の中で、女性の割合は10%程度です。女性会長が毎年続いているPTAや女性会長の割合の多いブロックがあります。女性会長は、会員の多くを占める母親とのコミュニケーションがとりやすいというメリットがあります。

・副会長が書記を兼ねたり、副会長の人数をさらに増やして仕事を分担したりするPTAもあります。

・本部役員は、選考委員会が中心になって、自薦他薦によって候補者を募っています。課題は、会長候補者の決定が非常に難航することです。その理由としては、多くのPTAでは父親が会長候補者であること、仕事との両立の難しさ、会長職の多忙さ、行事でのあいさつや職務が見えない不安などがあります。

・会長は、副会長から上がるというシステムを作っているPTAの場合、2年間の縛りはあるが、引き継ぎがうまくいくというメリットがあります。

・「見える化プロジェクト」の一環としてのスケジュールシートを作成することで、会長職が見える化できます。ただ、候補者を募る際に、仕事内容の開示は逆にマイナスになるという意見もありました。

・行事などの全体の前でのあいさつも、会長職のハードルとなっています。所沢市PTA連合会が作成した「PTA会長あいさつ文の作り方」などを参考にしてください。

会議の数

・運営委員会は、小学校では年間4回、中学校では年間6回が最も多い回数でした。また、本部会は、小学校では年間3回から9回までに分散しており、中学校では6回が最も多い回数でした。

・ある学校では、全役員が集まる運営委員会を年間5回実施しますが、うち2回を文書報告で済ませています。

・PTA会長研修会(令和元年2月1日)で発表いただいた伊奈町立小針小学校PTAでは、スマホによるグループウェアを利用して、活動報告や予定を知らせ、会議の数を減らしています。スマホを利用することで、活動の連絡だけでなく、出席の有無や行事の写真の共有もできるそうです。新型コロナウイルスの感染拡大防止措置で学校にいけない期間がある場合でも、非常に有効なツールとなったそうです。

・会議は、できる限り、省力化・効率化していくことが大切ですが、同時に役員が集まって、意見を交わしたり、情報を得たり、さらにはつながりが持てるという良さもあります。見直しの視点とあわせて検討課題です。

設置されている委員会

・PTAの仕事は、仕事ごとに分けられた委員会が担っています。この委員会のメンバーになることが、保護者の間では、「役員」になるということです。委員会名は、学校によって異なりますが、学年学級委員会、広報委員会、教養委員会などです。この委員会の役員を決めるのは、多くの学校では4月の最初の学級懇談会です。

・ポイント制というルールを決めて、役員選出を行うPTAが多いようです。ある学校では、1回1年役員をやると永久不滅ポイント獲得で、役員免除となるそうです。そのために、高学年では役員候補がいないという問題が起こっています。ルールは大切ですが、ルールだけが前面にでてしまうと、「子どものためにやりたい」「親として役立ちたい」という前向きな気持ちが汲み上げづらくなります。

・ある小学校では、学級委員が行っていた茶話会は学年単位で行い、開催は任意としました。また、役員を3月中に旧年度のクラスで決定し、1学級1名という役員の人数の縛りをなくしました。顔なじみになった旧クラスから役員を選ぶことで、強制感なく、互いに支えあう気落ちが優先されます。

・ある小学校では、全員が1年間の間に必ず活動に係る仕組みになっています。そのための活動のリーダーには、副会長が当たっています。

「他校との比較から見える化」プロジェクトの活用方法

今後も、各校のPTA活動の相互の「見える化」を図りながら、PTA活動の目的の再確認と見直しを図り、効率化と充実を進めていきたいと考えます。

※年間スケジュールシートができましたら、随時所沢市PTA連合会事務局へメールで送信してください。
※各単位PTAから提出された年間スケジュールシートは全単位PTAへ随時配信します。

5 活動の柔軟性

  • 学校まかせにはしないという決意には、相応の保護者の負担は求められます。しかし、大切なのは、できるひとが、できることを、できるときに、互いに負担しあうということです。2人しか集まらなければ、二人でできる活動を行えばいいし、逆に人数が増えた場合はそれなりの活動を行えばいいという組織の柔軟性が大切です。

また、前年と同じようにやらなければいけないという固定観念からは解放されましょう。活動の目的を確認しながら、毎年、集まった役員さんで工夫をしていくのが本来の姿です。

効率化と充実のバランスを常に意識しながら、活動の見直しを時間をかけて続けていく必要があります。最低でも3年はかかるようです。

PTA会長研修会での東所沢小学校の「情報共有・制度改革・デジタル化」の取組

[事例]PTA会則の中で、役員や係の人数を「〇〇名」から「数名」「若干名」などに規約変更したPTAがあります。また、ある役割を学級で選んでいたものを、学年全体から募るというように変えたPTAもあります。

6 組織の多様性

気をつけるべきは、負担軽減という掛け声のもとで、活動を安易にカットしてしまうことです。PTAというコミュニティが存続するには、多様な親の考えを生かす多様な活動が必要です。やりたくない人が強制されないのと同様に、やりたい人ができない組織であってはなりません。効率化とアウトソーシングだけに走れば、コミュニティが持っているゆとりを失い、井戸端会議で生まれる声や困っている親の声が、聞こえなくなってしまいます。もちろん、ルールに縛られない「活動の柔軟性」があっての多様性です。必要な時にボランティアを募るという方法もありますが、組織の多様性についてぜひ一考をお願いします。

ベルマーク活動は、時代遅れと切り捨てられましたが、今でも事務職員が細々ながら、プリンターのトナーでポイントを集めている学校があります。協力できる人で、人数が少なければできる程度の活動をするという「活動の柔軟性」+「組織の多様性」という考え方はいかがでしょうか。

問い合わせ先

内容に関する問い合わせは、所沢市PTA連合会連事務局までお願い申し上げます。